「被害者請求」で申請すれば後遺障害が認められる訳ではありません。
先日、交通事故の後遺症認定の件でお見えになったご相談者の方、ご相談の内容を伺うと、「被害者請求したのに、後遺症認定されませんでした。どうしてでしょう?」とのこと。
この方は、あるインターネットサイトに、「被害者請求すれば後遺症が認められやすい」という趣旨の記事を読んで、「それならば!」と自分で自賠責保険の被害者請求の手続きをしてみたそうです。
ところが、結果は非該当・・・。
なので、これからどうしてよいのか分からず、私の事務所のホームページを見つけてご連絡をくださったそうです。
実際に自賠責保険に提出した書類の控えを見せてもらったところ・・・
う~ん・・・。
正直、これでは後遺障害は認定されないのも致し方ありません。
仮に症状固定前にでも私のところに相談に来られて有効な対策を採ったとしても、後遺障害が認定されるかどうかは五分五分といったケースです。
ましてや、保険会社から取り寄せた書類や主治医に勝手気ままに書いてもらった後遺障害診断書をそのまま提出したところで、後遺障害が認定されるはずがありません。
残念ですが、一度いい加減な資料を出して後遺障害が認定されない結果になると、異議申立てでこれを覆すのは至難の業です。
せっかくお越しくださったご相談者の方には申し訳なかったのですが、「異議申立てをしても後遺症が認定される可能性は低い」ということと、「それでもよければ依頼してください。」旨をお伝えしました。
さて、交通事故の後遺症(後遺障害)に関するインターネットサイトを見ると、
相手方保険者主導の事前認定→後遺症認定されにくい。
被害者主導の被害者請求→後遺症認定されやすい。
というような図式的な説明がされていることがありますが、これは間違いとは言わないまでも、正確ではありません。
被害者請求のメリットというのは、単に相手方保険会社の妨害を受けにくいということだけではありません。
それは、認定機関(自賠責損害調査事務所等)に後遺障害を認定してもらうための有効な資料・情報を、被害者自身が自ら準備、選別して提出できるという点にあります。
なので、後遺障害が症認定されるためには、まず前提として、その後遺障害の種類に応じて、認定機関に「後遺障害」と認定してもらうために必要な資料、情報が何かということが分かっていなければなりません。
そのうえで、必要な資料、情報を自身で用意して提出しなければならないのです。ですから、認定手続だけを被害者請求でしたとしても、それだけでは後遺障害は認定されません。
要するに、事柄の本質を理解せずに、表面的なことだけしても満足のいく結果は伴わないということなのです。
今日は、少々キツイ書き方をしましたが、これは上のようなご相談者のような方が一人でも減ることを祈ってのことですので、ご理解頂きたいと思います。