半月板損傷による後遺障害の立証方法について
先日、交通事故で右膝の半月板を損傷して後遺障害等級認定を受けたのだけれども、その認定結果に納得がいかないという方が相談にお見えになりました。
その方いわく、「MRI画像検査で、膝の半月板が損傷していることは明らかで、他覚的所見があるのだから、12級13号が認定されないのはおかしい」。すなわち、後遺障害等級としては、当然12級13号が認定されると期待していたのに、14級9号しか認定されなかったというのです。
確かに、MRI画像検査で半月板の損傷が認められれば、12級13号が認定される可能性は高いでしょう。
しかし、それだけでは、12級13号が認定される訳ではありません。
半月板損傷の後遺障害を認定する際、実は一番問題にされるのは、半月板の損傷が、はたして交通事故により生じたものであるといえるかどうかなのです。
というのは、半月板の損傷は、老化によっても起こりうるし、またスポーツなどの事故以外の衝撃によっても起こりうるので、事故とその損傷との因果関係が問われてくるのです。
いいかえれば、半月板の損傷が老化等事故以外のものでない、「外傷性」のものであることまで立証しなければ12級13号は認定されないのです。
具体的には、
①事故の態様と半月板損傷に至る経過(いわゆる受傷機転)の他、
②半月板の損傷の程度(「断裂」と評価できる程度に至っているかどうか)、
③周囲の靭帯が損傷していないか、
④他の関節組織に変性(老化)がみられないか等を、詳細に立証する必要があります。
WEB上には「マクマレーテスト」といった徒手検査が認定の決め手となったような記述もありますが、この検査は半月板損傷の有無を推認するための検査に過ぎないので、この記述は疑問です。
半月板損傷による後遺症で、高い確率で12級13号を認定してもらおうと思えば、最初から専門家に依頼することが望ましいのですが、初回の申請で「非該当」や「14級9号」などの認定がされてしまっても、たまたま上の証明が足りていなかったことが原因であれば、この結果を異議申立てで覆すことは決して難しくはありませんので、あきらめずに専門家のところに相談に行って頂きたいと思います。