事故で顔に大きな傷跡(醜状)が残ってしまった場合の後遺障害
20代の男性の方からのご相談。
この方、バイクに乗って走行車線を走っていたところ、追い越し車線を走っていた自動車が交差点で急に左折し始めたため、その自動車に巻き込まれてしまったそうです。
幸い命には別条はなかったとのことでしたが、顔面から路面に落ちてしまったのか、顎(あご)の部分に大怪我をし、下唇から顎の間のところに大きい傷跡が残っています。
幅は5ミリ、長さは7、8センチはある、いわゆる「線状痕」(せんじょうこん)というものです。
事故からちょうど3か月ほど経っているので、事故直後に比べれば傷口もだいぶきれいにはなってきたとのことですが、それでもかなり目立ちます。
このように交通事故による怪我で顔などに大きな傷跡が残ることを、「醜状(しゅうじょう)障害」と呼び、これも後遺障害とされ賠償の対象となります。
ですから怪我をしてから6ヶ月以上経っても大きな傷跡が残っているようであれば、後遺障害の認定を申請しましょう。
もちろん「大きな傷跡」と言っても、後遺障害と認定されるためには一定の基準があります。
顔面部であれば、少なくても10円硬貨以上の大きさ瘢痕(はんこん)、または長さ3センチメートル以上の線状痕でなければなりません。この場合であれば後遺障害等級第12級(14号)となります。
さらに、顔面部に長さ5センチメートル以上の線状痕であれば第9級(16号)、鶏の卵以上の大きさの瘢痕、10円硬貨以上の大きさの組織陥没であれば後遺障害第7級12号となります。
結構、上位の等級に該当しますね。
下世話なことを言ってしまえば、それだけ賠償金も高額になるということです。
また、顔以外の部分でも、頭や首、両手両足、場合によっては背中やお尻などの大きな傷跡も後遺障害の対象(醜状障害)となることがあります。
ですから、事故による怪我で体に大きな傷が残ってしまったとき、または残りそうなときには、後遺障害等級認定の対象となることがありますので、一度専門家にご相談されることをお勧めします。
この被害者の方も事故から6ヶ月経った時点で傷が十分治りきらず、人目につく程度であれば、「長さ5センチメートル以上の線状痕」ですので、後遺障害第9級(16号)に該当する可能性があります。
ただし、ご相談者の方はまだ若く、皮膚の再生も早いので、数か月後には、傷もほとんど目立たなくなってしまうことも考えられますから、実際に後遺障害が認定されるかどうかは正直のところ分かりません。
最後に、ご相談者の方曰く
「まさかこの顔の傷が後遺障害の対象になるなんて知らなかった。」
「自分の保険屋さんもに色々相談したけど、そんなこと教えてくれなかった。知らないって怖いですね・・・。」
ご存じない方も多いと思いますが、自分の入っている保険会社が「自分の味方だ」と考えている方、それは大きな誤解ですから。
重々、お気を付け下さいね。