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最悪な後遺障害診断書とは?

今回は、後遺障害認定を受けるのに必要な後遺障害診断書の書き方についての「基本のキ」についてお話します。

以前、後遺障害等級認定申請をするために、主治医に後遺障害診断書を書いてもらったのだけども、その内容に問題がないか見て欲しいというご依頼がありました。拝見させて頂くと・・・

 

あら、これはヤバイ・・・∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

この「障害の内容の増悪・緩解の見通し」欄は、後遺障害診断書の末尾に何気なく設けてある記載欄なのですが、上のような記載がされてしまうとどうなると思いますか?

結論から申し上げると、ほぼ100%後遺障害等級は認定されません。

では、それはなぜだと思いますか?

後遺症(後遺障害)とは、平たく言えば、後遺症が半永久的に残り、改善する見込みが乏しいという意味です。

ですから、症状が徐々に緩解(「かんかい」と読みます)中であるということは、改善する見込みがあるいうことですから、そのような後遺症は自賠法にいう後遺症(後遺障害)には該当しないことになります。

確かに、医師からみれば、「痛みやしびれは残ってるのは分かるんだけど、全く改善しないという訳じゃなく、徐々には良くなっていくんじゃないの?」という、臨床の現場からすれば当たり前の認識を書いただけかもしれません。

ですが、この記述が後遺障害認定の実務においては命取りになってしまうのですね。

ただ、人身事故の被害者としては、これまで半年以上辛い治療を続けてきたにもかかわらず、医師の何気ない一言で、十分な賠償が受けられなくなるというのでは悲しすぎます。

ですから、医師からみて後遺症が残っていることが確かであるならば、後遺障害診断書にも「寛解の見通しはない」とか、「寛解するかどうかは不明」というように書いてもらわなければなりません。

では、実際、上のご相談者のような有害的記載事項を後遺障害診断書に書かれてしまった場合にはどうしたらよいでしょうか?

まず、考えられる方法としては、医師に二重線と訂正印で修正してもらうことです。

しかし、それでは後遺障害の有無程度を審査する自賠責損害調査事務所に、申請者が診断書に意図的に手を加えたことがバレバレなので、よい心証を持たれない可能性があります。

そこで、対処法としてベストな方法は医師にはじめから書き直してもらうこと。

ただ、部分的な修正には応じてくれても、書き直しまでは応じてもらえないのがほとんどだと言ってよいでしょう。

本来であれば、後遺障害診断書の補正が必要にならないように事前に手を打っておくべきなのですが、実際に、今回のような有害的な記載をされてしまったときには、私の方でもお力をお貸しできるかもしれませんので、一度ご相談されてみてください。

 

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