保険会社から治療中止を求められたときの対処法
前回は、「むち打ち症」を訴える被害者に対して、保険会社は、3ヶ月程度で治療を打ち切るよう迫ってくることが一般的だというお話をしました。
今日は、保険会社に治療の中止を迫られたとき、被害者としてどのように対応すべきかについて、お話したいと思います。
1.医師に治療の必要性や効果を認めている場合
まず、保険会社が治療の中止を求められたら、主治医にこれからも治療の必要性があるか、今の治療法に効果が見込めるか確認して下さい。
これがまず最初のポイントです。
それらが認められるということであれば、医師からその旨を保険会社の担当者に伝えてもらいましょう。
あなたの方から保険会社の担当者に医師に連絡を取るよう伝えればOKです。
実際に治療を担当している医師が、治療の必要性と効果を認めていることを知れば、保険会社の担当者も
「もう少し、様子をみましょうか。」
ということになるはずです。
2.医師が治療の必要性や効果に否定的な見解をもっている場合
では、医師が治療の必要性や効果に否定的な見解をもっている場合、例えば
「もう治っているはずだ」とか
「痛みは気持ちの問題だ」とかいうような見方をもっているときですね。
このような場合でも、あなたが自分を治療してもらった医師を信頼できるのでしたら、治療を中止して、保険会社との示談交渉に移るというのも選択肢のひとつだとは思います。
しかし、痛み、しびれなどの頑固な症状がまだ残っているのだとしたら、治療は続けるべきです。
これが、第二のポイントです。
先日も保険会社に言われるがまま治療を中止してしまったがゆえに、症状を悪化させてしまった方の相談をお受けしたばかりです。
そうだとしても、残念ながら被害者が保険会社に対して治療費などの支払を求める権利は法的に認められていませんので、保険会社から治療費支払い中止は、被害者として受け入れなければなりません。
それでも、健康保険証を提示して、保険治療を受けることはできます。
交通事故であろうとなんであろうと、体に不調があるときに保険診療を受けられることは国民の権利ですから、保険会社に治療を中止させられるいわれはないのです。
もちろん、医師も診療を拒否できません。
ただ、治療を開始して6か月以上たっても症状が改善しない場合には、治療による効果が見込めない状態、いわゆる「症状固定」の状態になったといえますので、後遺症等級認定申請の準備をしましょう。
3.セカンドオピニオンについて
治療開始して6か月以上たっても症状が一向に改善しない。むしろ悪化しているようにさえ感じる。
また、6か月以上たっていなくても担当医の治療に納得しかねるというときには、大学病院や労災病院といった高度専門医療機関を受診し、精密検査を受けてみるという方法もあります。
検査結果次第によっては、治療方針が変わるということもめずらしいことではありません。
以上、いろいろ書きましたが、「むち打ち症」と一口に言っても症状はそれぞれですから、「一つこうすれば、それでよい」ということはありません。
ですから、どうしてもケースバイケースで対応していかざるをえないのですね。
ただ、そうなると一般の方にとってはさらに一層、「どうしたらよいか分からない・・・。」ということになるでしょう。
ですから、そういうときにこそ、ぜひ我々のような専門家を有効活用して頂けたらと思います。