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むち打ち症はなぜ3か月で治療を打ち切られるのか。

あなたは車を運転中、後続車に追突され、いわゆる「むち打ち症」になってしまいました。

病院で治療していたところ、交通事故事故から3ヶ月を過ぎた頃、保険会社から
「今月いっぱいで病院への治療費の支払いを打ち切りますから、治療を中止して下さい。」
という趣旨の通知が届きました。

「むち打ち症の治療期間は3ヶ月」

こんな話を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?

実際に保険会社は、「むち打ち症」の被害者に対して一般的にこのような対応をしています。

では、なぜ保険会社はこのような対応をする理由・根拠は何なのでしょうか?

実は、これには、昭和63年4月21日の最高裁判所の判例が大きく影響しています。

最高裁判所がどのようなことを言っているのか紹介しましょう。

「外傷性頭頸部症候群(「むち打ち症」のこと)は衝撃の程度が軽度で損傷が頸部軟部組織(筋肉、靱帯、自律神経など)にとどまっている場合には、入院安静を要するとしても長期間にわたる必要はなく、その後は多少の自覚症状があつても日常生活に復帰させたうえ適切な治療を施せば、ほとんど1か月以内、長くとも2、3か月以内に通常の生活に戻ることができるのが一般である

要するに、「むち打ち症は、ほとんどの場合、3ヶ月以内で治るだろう」と言っているのです。

これは最高裁が勝手に判断したものではなく、保険会社が証拠として提出した医学的な統計などを踏まえて判断したものです。

保険会社はこの最高裁判所の判例を「錦の御旗」として、被害者に治療の中止を迫っているのですね。

だからといって、被害者としては白旗を上げる必要はまったくありません

最高裁判所も「一般論としてそうだ」と言っているだけなのですから。

事故の状況や症状も個々の案件ごとに違いますし、治療の効果も人によって異なります。

では、被害者としては、保険会社に治療の中止を迫られたときどのように対応すべきについては、次回お話したいと思います。

 

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