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これまでの主治医とは別の医師に後遺障害診断書を書いてもらう方法

前回は、これまで治療を受けてきた医師が後遺障害診断書を書かないことがあることについて、お話しましたが、今回は、これまでの治療を受けてきた医師とは別の医師に、どのようにして後遺障害診断書を書いてもらえばよいのか、についてお話したいと思います。

まず、これまでの主治医が後遺障害診断書を書いてくれないから、じゃあ別の医師のところに行って、「後遺障害の診断書を書いて欲しい」とお願いしても、まず書いてはもらえません。

というのは、後遺障害診断をするためには、一定期間症状の推移を見たうえで、これ以上良くならないし、治療方法もないと診断する必要があるからです

ですから、いきなり飛び込みで「後遺障害診断書を書いてくれ」とお願いしても、断られるのは当然です。仮に、飛び込みで入った病院の医師が後遺障害診断書を書いてくれたとしても、後遺障害の有無・程度を審査する自賠責損害調査事務所には相手にされません。

では、どうしたらよいのでしょうか。

まずは、交通事故の治療の途中でも治療を引き継いでくれ、その上で、後遺障害診断書を書いてくれる医師を探すことから始めないといけません。しかし、これが大変な作業なのです。基本的に断られるものと思って臨んだ方がよかもしれません。市町村が経営している病院や日赤病院などの公立病院であれば、受け入れてくれる可能性が高いのですが、意外と近くの開業医が受け入れてくれることもあります。結局、そのような医師・病院を探そうと思えば、一件一件電話を掛けたてみたり、実際に診察を受けに行ってみる他ありません

次に、仮に受け入れてくれる病院が見つかったとしても、初診の日は論外として数回通院した程度で、後遺障害診断書を書いてもらえるはずはありません。私の経験則ですが、少なくても3か月は症状の経過を観察してもらえなければ、後遺障害診断書は書いてもらえないと思います。むしろ、新しい医師に治療を開始してもらうときに、「3か月は経過を診て欲しい」旨を説明しておいた方がよいでしょう。

最後に、新しい医師は、事故直後の状況や前の医師の所見、治療内容が分からないと、これから自分が行う治療が交通事故により生じた傷病の治療かどうかが判断できないので、前の医師から紹介状(正式には「診療情報提供書」といいます)をもらっておいて下さい。私の経験則上、後遺障害診断書を書かない医師も紹介状ぐらいは書きます。今まで断られたことはありません。できれば、相手方の任意保険会社から、これまでの治療の内容を記載した「診断書(経過診断書)」や「診療報酬明細書(レセプト)」を取り付けて、新しい医師に見てもらった方がよいでしょう。

主治医が「後遺障害診断書を書けない。」と言い出すなど、通常は予測できないことですが、このような医師にあたってしまうことは、残念ですが避けることはできません。ただし、早期にその医師から別の医師に「乗り換える」こと(転医といいます。)は可能です。具体的には、交通事故に遭ってから一定期間が経ち、「後遺症が残りそうだな」と思って時点で主治医に、「後遺症が残ったら、後遺障害診断書を書いてもらえるか」どうか尋ねてみることです。「OK」と言えばそのまま治療を続ければよいですし、「NO」といのであれば、前述したように、早めに転医してしまいましょう。

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