後遺障害診断書を書かない医師への対処法
先日、交通事故に遭ってある整形外科クリニックに6か月ほど通院した時点で、医師に「後遺障害診断書を書いて欲しい」と依頼したところ、「私は後遺障害診断書は書かない。」と依頼を断られてしまい、どうしたらよいのかとのご相談がありました。
このような相談は珍しいことではありません。
まず、医師が後遺障害診断書の作成を拒むことが法令違反になるかという点ですが、この点については、医師法は第19条第2項で
診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
と規定していますが、本条項にいう「診断書」に「後遺障害診断書」が含まれることは当然ですから、医師が後遺障害診断書の作成を拒否することは、「正当な事由」がない限り、医師法違反ということになります。
しかし、医師法第19条第2項に違反しても、これには罰則がありません。ですから警察に告訴・告発することもできません。地方厚生局や都道府県等の監督官庁に通報して指導してもらうことは可能ですが、「分かりました。指導しておきます」と回答するぐらいで、まともに取り合ってはくれません。
そのような医師に対しては、私は直談判して半ば強制的に後遺障害診断書を書いてもらったことはありますが、そのようなことをすると警察を呼ばれかねないので、他の方にはおススメできません。
結論から言えば、後遺障害診断書の作成を拒否する医師に対しそれを合法的に強制する方法は、実際のところはないと言えるでしょう。
交通事故の後遺症で苦しんでいる患者にそのような無慈悲な対応をする医師が、まともな後遺障害診断書など書いてくれることは、おそらく期待できないでしょうから、かえって良かったと前向きに考えてもいいかもしれません。
とは言え、後遺障害診断書がなければ後遺障害の等級認定申請はできませんから、結局のところ別の医師にそれを書いてもらう必要があります。
では、これまでの治療を受けてきた医師とは別の医師に、どのようにして後遺障害診断書を書いてもらえばよいのか。
この点につきましては、次回のブログでお話したいと思います。