機能障害

関節などの機能障害による後遺障害認定

交通事故により関節がまったく機能しなくなったり、動きに制限が生じたりする場合は後遺障害認定を受けられるケースが存在します。これは関節の機能障害と呼ばれ、認定のためには様々な条件が必要です。

ポイントは、「関節可動域がどのぐらい制限されているのか」、器質的損傷(骨折後に患部がうまくつながらない、関節の緊縮、神経損傷など)と交通事故との因果関係が医学的見地から判断出来るかが重要です。つまり、ただ曲げにくくなったというだけで後遺障害が認められるわけではありません。

検査測定基準検査方法

まずは、関節の可動が妨げられている原因がどのようなものかを調べなければいけません。X線写真撮影やCT検査、MRI検査などの客観的なデータをもとに、医学的見地から症状を診断。その後、関節可動域を測定します。測定方法は、日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会による「関節可動域表示ならびに測定法」を用います。専用の「角度計」を用いて可動域を5度刻みで測定していく流れです。

また、どの部分をどのように動かすかといったことが重要なので、肩・ひじ・手首を上肢の3大関節、股関節・ひざ・足首を下肢の3大関節に分けて、それぞれの「主要運動」と「参考運動」を測ることになっています。

日常の動作にとって最も重要な各関節の動きを屈曲(前屈)、伸展(後屈)、回旋(左右の回転)などでチェックするのが主要運動。参考運動とは、主要運動ほど重要ではありませんがスムーズに生活するために必要な動きです。肩関節の例でいえば、腕を前に伸ばした状態で、手のひらを上にしたり下にしたりする「内旋」「外旋」の動作が当てはまります。

上肢の関節機能障害の認定基準

後遺障害等級「第1級」 障害の程度 両上肢の用を全廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 両上肢の3大関節(肩・ひじ・手首)のすべてが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの、加えて、手指の全部の用を廃したもの
  2. 両上肢の上腕神経叢の完全マヒ
後遺障害等級「第5級」 障害の程度 1上肢の用を全廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 上肢の3大関節(肩・ひじ・手首)のすべてが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの、加えて、手指の全部の用を廃したもの
  2. 上肢の上腕神経叢の完全マヒ
後遺障害等級「第6級」 障害の程度 2つの関節の用を廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(肩・ひじ・手首)のうち2つが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
  2. 完全弛緩性マヒ、または、それに近いもの
    ※他動では可動するが、自動では可動域が10%以下に制限されたもの
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入し、可動域が2分の1以下に制限されているもの
後遺障害等級「第8級」 障害の程度 1つの関節の用を廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(肩・ひじ・手首)のうち1つが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
  2. 完全弛緩性マヒ、または、それに近いもの
    ※他動では可動するが、自動では可動域が10%以下に制限されたもの
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入し、かつ、可動域が2分の1以下に制限されているもの
後遺障害等級「第10級」 障害の程度 1つの関節の著しい機能障害
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(肩・ひじ・手首)のうち1つの可動域が2分の1以下に制限されているもの
  2. 人工関節・人工骨頭を挿入したもの
  3. 前腕の回内・回外の可動域が4分の1以下に制限されているもの
  4. 常に硬性補装具を必要とする動揺関節
後遺障害等級「第12級」 障害の程度 1つの関節の機能障害
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(肩・ひじ・手首)のうち1つの可動域が4分の3以下に制限されているもの
  2. 前腕の回内・回外の可動域が2分の1以下に制限されているもの
  3. 時々硬性補装具を必要とする動揺関節
  4. 習慣性脱臼

下肢の関節機能障害の認定基準

後遺障害等級「第1級」 障害の程度 両下肢の用を全廃したもの
障害に関する具体的な説明 両下肢の3大関節(股関節・ひざ・足首)のすべてが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
後遺障害等級「第5級」 障害の程度 1下肢の用を全廃したもの
障害に関する具体的な説明 1下肢の3大関節(股関節・ひざ・足首)のすべてが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
後遺障害等級「第6級」 障害の程度 2つの関節の用を廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(股関節・ひざ・足首)のうち2つが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
  2. 完全弛緩性マヒ、または、それに近いもの
    ※他動では可動するが、自動では可動域が10%以下に制限されたもの
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入し、可動域が2分の1以下に制限されているもの
後遺障害等級「第8級」 障害の程度 1つの関節の用を廃したもの
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(股関節・ひざ・足首)のうち1つが全く可動しないか、可動域が10%以下に制限されたもの
  2. 完全弛緩性マヒ、または、それに近いもの
    ※他動では可動するが、自動では可動域が10%以下に制限されたもの
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入し、かつ、可動域が2分の1以下に制限されているもの
  4. 常に硬性補装具を必要とする動揺関節
後遺障害等級「第10級」 障害の程度 1つの関節の著しい機能障害
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(股関節・ひざ・足首)のうち1つの可動域が2分の1以下に制限されているもの
  2. 人工関節・人工骨頭を挿入したもの
  3. 時々硬性補装具を必要とする動揺関節
後遺障害等級「第12級」 障害の程度 1つの関節の機能障害
障害に関する具体的な説明
  1. 3大関節(股関節・ひざ・足首)のうち1つの可動域が4分の3以下に制限されているもの
  2. 重激な労働等の際以外は硬性補装具を必要としない動揺関節
  3. 習慣性脱臼・弾発ひざ

機能障害認定のためのポイント

残念ながら医師の中には、関節可動域の測定を、感覚や目測で行っているようなケースも存在します。ほかにも、角度計を使わないまま診断書に角度を記載されたり、痛みがあるにもかかわらず関節を強く動かされたりといったお話もお聞きします。確かに無理をすれば関節は曲がるかもしれませんが、それは本来の動きではありません。しかも、5度違っていたら賠償額にも大きな差が出るのが機能障害の認定です。

また、関節の機能障害の認定においては、単純に曲がりづらい・動かしづらいなどの症状を訴えるだけでは不十分なので、他覚的、客観的な検査が必要です。ただ、これも医師によっては最低限の検査しか行ってくれないことがあります。つまり、このような状況に遭遇したら、きちんと本来の検査を行ってもらうように申告しなければいけません。もし、事故との因果関係が明らかにならなかった場合、しびれや痛みなどがあっても後遺障害認定の等級が低くなってしまうからです。医師に意見を言うのは、勇気が必要なことかもしれませんが、自分の身体のために頑張りましょう。

機能障害認定申請における当事務所のサービス

当事務所の強みはシンプルです。まず、関節の可動域測定がきちんと日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会による基準で行われているかどうか。そして、事故による損傷と可動域制限に整合性が認められるための検査を提案しているかどうかをチェックすることです。場合によっては、1回だけの検査ではなく、治療経過に応じた検査の提案を勧めることもあります。
また、単純な資料作成だけでは終わりません。病院同行や医師面談の同席など一人一人のお客様に親身にサポート。そのうえで、しっかりと重要事項を資料に反映させていくので、後遺障害認定の手続きに関しては、豊富な経験と実績があります。「後遺障害について教えて欲しい」「診断書の書き方がわからない」「等級が正しい物なのかどうかの判断がつかない」など、交通事故の後遺障害に関することならどんなことでも結構です。お気軽にご相談ください。

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